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らぶあま小説『オレだけのものになれ!』 - #0(真山side)chap.4

Category : 【オレだけのものになれ!】#0
らぶあま小説『オレだけのものになれ!』 - #0 (真山side)

◆chap.4 《高2~3》 年上との別れ



 「それって…妊娠?」

 そう聞き返したオレは多分、顔面蒼白だったと思う。

 こくり、と静かに頷く由布子さんの様子を見て冗談では無いことを悟り、益々体中の血の気が引いた気がした。

 驚きというよりも、不安による脅えのような感情が俺を支配していて。そのせいで鼓動がおかしなくらい早くなっていた。

 今更自分の行いを悔いたって遅い。

 だけど、これほどまでに時を戻したいと強く思ったことはなかった。

 「…でもさ、オレとの時は安全日だったんだよね?安全日でも妊娠するの?」

 逃げ道を探したくて、オレはそんなことも口にしていて。

 すると、堰を切ったように由布子さんの瞳から涙が溢れた。

 「わから…ないの…」

 「…え?」

 かすかに聴こえてきた呟きを聞き漏らさないように耳をすます。

 「……誰の子か、ハッキリと確定出来ない……」

 肩を揺らしながら泣き出した由布子さんは何度もオレに「ごめんね、ごめんね」と謝っていた。

 泣いてるだけじゃ、話が全くみえない。

 どういう意味なのかを聞き出そうと、オレは懸命に由布子さんを宥めた。

 そして。

 少し落ち着きを取り戻した由布子さんから聞き出した話はこうだった。

 頻繁では無いにしろ旦那さんにも抱かれることはもちろんあって。旦那さんとの営みがあった週にオレとも関係を持っていて、生理日を逆算してみるとどうもその週があやしいらしく。

 由布子さんはきっちりと基礎体温をつけている訳ではなかったから、オレに安全日と告げた日が本当に安全日だったかどうかは、正確に判断できないということだった。

 「…ってことは、どっちにも可能性があるかもってこと?」

 「……うん……」

 「その話は……旦那さんにしたの?」

 オレは恐る恐る聞いてみると、由布子さんは首を横に振った。

 「まだ妊娠したことも話してないの…。多分、主人の子だとは思うんだけど絶対にそうだとは言い切れなくて…。もちろん聡くんの話もできないから……」

 「……」

 そこで一度会話が止まってしまった。お互い、こんな状況は人生で初めてで。どう取り繕っていいかわからない。由布子さんも深刻な顔つきでソファに座ったまま何かを真剣に考えているようだった。

 正直オレは、チキンな状態で。こんな話になっているのに男として責任を負えない…というか、負いたくないというのが本当の気持ちだった。どうか、旦那さんの子であってほしいと願わずにはいられない。

 この沈黙をどう打ち破るかを考えていたそのとき。

 「私、産もうと思うんだ…」

 由布子さんからそう宣言された。

 「不安なことは否めないけど…。私は主人の子だって信じてるの…。だから聡くんのことは伏せたまま妊娠したことをきちんと伝える。あの人が喜んでくれるかどうかはわからないけど……たとえ何があってもお腹の赤ちゃんは守ろうと思うんだ…。だから、聡くんは心配しないで…。ね…?」

 「……」

 もっとオレが大人で。由布子さんと“恋人”として付き合っていたなら。迷わず手を差し伸べていたと思う。本気で好きだったら、『旦那さんと別れてオレと一緒になろう』とかこの場で言ってたかもしれない。

 でも、現実はそうじゃないんだ…。オレ一人だけが背負うには荷が重すぎる。

 「もし…実際はオレの子だったら…?オレはどうしたらいい……?」

 気づいたらそんなことを口走っていた。すると、由布子さんからは。

 「聡くんはどうしたい…?」

 真顔でそう訊かれたけど、返答に困り。オレは口を噤んだまま何も言えなかった。

 暫しの沈黙が場を包む。

 そして、「なんて、ね…」と小声で言った由布子さんの表情は半ば諦め顔で。

 「…答えられないのは仕方ないわよ……聡くん、まだ高校生だもの…。それに、今回のことは完全に私に非があるから……」

 そう言って、ソファの上で体育座りのようにぎゅっと膝をかかえた仕草は、初めて会ったときに見たのと同じで、寂しさのオーラも放っていて。

 胸が苦しくなった。


 ───そうだ…。オレたちは、そこから始まったのに…。


 結局オレは中途半端に由布子さんの寂しさを拭っていただけで、深い部分までは救いきれなかった。

 あの時、軽い気持ちで「話し相手になります」なんて言うべきじゃなかったんだと。今の今になって、やっと悟った。

 「いや…オレが悪いんだ…。由布子さんを護れもしないくせに関係を続けて…」

 オレはそんな風に謝るのが精一杯で。

 「ううん…そんなことない…。それを望んだのは私だもの…本当は関係を早くに終わらせなきゃって思ってたのに、私がどうしても言い出せなかったの…。だって…」

 一瞬の躊躇いの後に出たのは。

 「気づいたらいつの間にか…聡くんのこと好きになってたから……」

 「……」

 とうとう。

 由布子さんの口から確信的な言葉を聞いてしまった。

 薄々は感じてたから、それを実際に言われて驚きもしなかったけど。気持ちに応えられるものは何も持ち合わせていなくて…。

 考えさせてほしいとか、そんなことも言えるはずがなく。

 結局は、由布子さんから逃げた。

 その日を最後に、由布子さんとは一切会わなくなったんだ──。



 *******



 「なぁ。真山。あのキレイなおねーさんとはもう別れたんだろ?そろそろ彼女作ってもいいんじゃね?」

 高2の冬。周りはクリスマスだ何だと騒ぎ出す時期。

 オレは菊池に最近よくそんなことを言われる。

 でも、その話は毎回上手くはぐらかしていた。

 「好きな子が出来たらな」

 と。

 そう告げるたび、「真山は理想高そうだもんな…」とブツブツ文句を言うけど、別にそうじゃないんだ。

 菊池は由布子さんとのことを元カノだと思っているけど、本当は彼女じゃなかったし。

 雑誌の編集記者だってことは話したけど、それ以外のプライベートなことは一切話してない

 もちろん。由布子さんが既婚者だということも。妊娠したことも…。

 結局のところ菊池は一握りの事実しか知らないんだ。



 ───あの衝撃的な告白からもう3ヶ月も経っている。



 その間、由布子さんから何度かメールをもらったけど。

 【主人に妊娠のことを話したけど、あまりいい顔はされなかった】とか。

 【もしかしたら別れて一人で産んだほうがいいのかも…】とか。

 内容はそんなものばかりで。返答に困り、よそよそしい返事しか出せないオレは相談相手には力不足で。

 一方的に【もう相談にのれないから…ごめん】とメールで告げた。

 由布子さんがどういう意味に取ったかはわからないけど、それから一切連絡が来なくなった。

 胸の中に残る苦い思い。後味が悪すぎだ……。

 けど、本当にオレにはどうしようもできなかった。そんな情けない自分に、オレ自身も傷ついてる。

 勝手だけど。由布子さんと子供を護れるのは、やっぱり大人である由布子さんの旦那さんだけなんだ。ちゃらんぽらんな旦那さんだとは思うけど、それなりに経済力はあるし。

 だから。どうか、旦那さんと上手くいってほしいということと、子供の父親はオレではなく旦那さんであってほしいという願いだけはずっとずっと持ち続けていた。

 年が明けて。正月の神社でのお参りも、そんなことを必死で願って。



 ──そして。

 高3に進級した4月。



 久しぶりに由布子さんが所属している雑誌から取材のオファーを受けた。

 もしや…由布子さんがオレを取材?と思ったけど、実際は後任だと言う女性が顔なじみのカメラマンと一緒にやってきた。

 「はじめまして。今まで担当だった由布子さんは今、育児休暇中なんで代わってわたくし、菅沼が担当しますね。よろしくお願いします」

 名刺を渡されながらペコリと挨拶をする菅沼さんは、由布子さんよりも若くて。聞いたら入社3年目の人だそうだ。

 でも、そんなことよりも菅沼さんから出た「育児休暇」という言葉をオレは聞き逃さなかった。

 「由布子さん…子供産まれたんですか…?」

 オレは恐る恐る訊ねてみた。すると。

 「はい、そうなんです。先々週に産まれて。私もお祝いがてら見に行ったんですけど女の子の赤ちゃんでしたよ!」

 「あ…そうですか…。それは良かった…」

 「そうそう。編集部宛に来た真山くんへのファンレターと…それから由布子さんからもお手紙預かってきたんです。一緒に紙袋の中に入れておきますね」

 「え?由布子さんから…?」

 思わぬ出来事でオレは軽く目を見開いた。

 「はい。もう会えなくなっちゃうんでお手紙書いたって言ってましたけど…。由布子さん、育休終わったら違う雑誌に移動になるかもしれないんで」

 「あ…そうなんですか…」

 オレは紙袋を受け取りながらそう呟いた。

 「ウチの雑誌に初めて真山くん載せたの由布子さんでしたからね。それから反響が凄くて今もこうして真山くんを追いかけさせてもらってるんですけどね」

 …そうだ。新聞の取材ばかりを受けていたオレが、初めて由布子さんの誘いでいわゆるティーン向けの雑誌に載るようになって。

 それから急にそういう雑誌からの取材も増えるようになった。書の世界は決して派手ではないから、そんなところから取材のオファーが来るなんて滅多に無いことなのに。オレの知名度を上げてくれたのは間違いなく由布子さん…。

 それなのにオレは由布子さんを裏切って──。

 取材中、頭の片隅でずっとそんなことを考えていた。それと同時に、手紙に何が書いてあるのかも気になって仕方がなかった。

 取材が終わったあと我慢が出来なくて、一人になった途端、急いで封を切る。取り出した便箋には手書きでこんなことが綴られていた。



 聡くんへ


 お元気ですか?私も元気に過ごしています。
 突然の手紙でごめんなさい。きっと聡くんも驚いてると思います。
 4月3日に元気な女の子が生まれました。
 出産にあまりいい顔をしなかった主人も、私のお腹が大きくなるにつれて親になるという実感がわいたのか私を大事にしてくれるようになり、子供が産まれてからは親ばかなくらい赤ちゃんを可愛がっています。
 まさか、あの人がこんなに変わるなんて…と、私も驚いていますが、嬉しい誤算だったので今は本当に幸せです。

 実は今回、大事なことを伝えたくて手紙を書きました。
 子供の血液型はB型でした。それが何を意味しているか…聡くんならわかるよね。
 私も聡くんもO型。そして主人はB型。
 間違いなく主人との子供です。
 だから、もう聡くんは何も気にすることは無いよ。
 きっと、今まですごく不安な日々を過ごしていたと思います。
 それは私も同じだけれど、結果としてそんな気持ちを聡くんに与えることになってしまった自分の行動を本当に悔いています。
 けれど、そうは言っても本当は聡くんと過ごした日々はとても楽しくて。少しだけ高校生気分を味わえた気がして嬉しかった。
 今まで本当にどうもありがとう。そして、色んなことに巻き込んでしまって本当にごめんなさい。

 これからの未来が聡くんにとって輝く素敵なものでありますように…。
 陰ながら応援しています。



 由布子



 この手紙を読んで、胸の痞えが一瞬にして全て取り除けた気がした。由布子さんと旦那さんのことも、子供のことも。全てが上手くいったんだ。

 体中に染み渡る安堵感。けれど、まるっきり手放しで喜べるわけではなかった。

 不安の最中(さなか)では、オレは手を差し伸べることもできない情けないオトコだったわけだから…。

 それは消しがたい現実。

 オレの子じゃないことを知って、【それは良かった】って笑顔でまた会うこともできないし。【安心したよ】と言うのもおかしい。

 だから、由布子さんには手紙に対する返事を出さなかった。いや、出せなかったというほうが意味合い的には正しい。

 教えてくれたのは本当に有り難かったけど…。もうこのままオレのことは忘れて、幸せな人生を歩んでもらいたかったから。


 ───こうして。ようやく由布子さんとのことは完全に終止符が打てたんだ。




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らぶあま小説【R15(一部R18)】 オレだけのものになれ! (最新更新日 12/21 SS《Type2》 UP!)

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